地球環境変動と微生物の進化・多様化の相互作用を理解し、環境変動下での生命の適応戦略のメカニズムを明らかにし、地球生命システム学の構築を目指します。
氷床コアからの古環境復元は、地球の過去・現在・未来を知るための鍵であると言われています。それは、過去の地球環境を復元するだけにとどまらず、現在われわれの置かれている状況の正しい理解、さらには将来の地球環境がどうなってゆくのかを予測する際に不可欠な情報を与えてくれます。
南極やグリーンランドに存在する氷床からのコア・サンプルの解析には新しい技術が次々に投入され、幅広い環境情報が高い分解能で得られつつあります。そして近年、これまで無生物であると思われていた氷床中に、大気中を浮遊していた微生物が雪とともに封じ込められていることが明らかになってきました。これは、これまでの物理・化学的な情報に新たに加わった、生物的な古環境情報と言えます。
氷床コアから復元可能な歴史の長さは、約100万年であるとされています。この時間フレームは、ちょうど直立猿人から我々の時代までをカバーするスケールに当たるのです。つまり氷床コアに含まれる微生物の変遷には、人類の進化や活動に関わる情報が含まれている可能性があることになります。
氷床コアから読み取る環境変動史に生物変遷史を加えることで、人類の時代における地球生命システムを理解する道を拓くことを目指します。
氷河、氷床のコア解析による地球環境変動の復元、アイスコア中の微生物・ウイルスなどの環境変動への対応や進化メカニズムの時系列解明等を行う。
南極沿岸域の氷床、氷河、湖沼生態系から見た地球環境の変遷およびそこに見られる極限生物の多様性と分布パターンの解明を行う。
極限微生物の多様性と環境への適応メカニズムおよび進化プロセスの解明を行う。