システム・レジリエンス

「想定外」の障害から柔軟に柔軟に回復するレジリエントなシステムを設計・運用するための知識の体系 (Body of Knowledge, BOK) を構築を目指します。

2011年3月11日の東日本大震災とそれに続く福島第一原子力発電所の事故においては、「想定外」という言葉が多く使われました。私たちの社会が持続可能なものであるためには、様々な外界の事象に柔軟に対応していかなければなりません。その際、システムが壊れないことに注力するだけでなく、壊れた後いかに素早く回復するかも重要な考えとなってきます。レジリエンスとは、環境の大きな変化に対して、一時的に機能を失ったとしても柔軟に回復できる能力を指す言葉です。

地球の長い歴史の中で、生物は多くの事象に対応してきました。たとえある種が絶滅しても、他の種がその隙間を埋めて生態系を維持してきたのです。生物に限らず、インターネットなどの人工物、経済や金融などの社会システム、あるいは企業・組織なども、外界の様々な擾乱に柔軟に対応し、その活動を維持しています。これらレジリエントなシステムに共通な性質はあるのでしょうか。そのような性質、あるいは科学的な原理から、レジリエントなシステムを設計し運用するための知識の体系を構築することができるでしょうか。私たちは、多くの分野にまたがる研究者のネットワークを通して、これらの問いに答えていきます。そして、この知の体系が、人類社会をより安全で持続可能なものにしていくでしょう。
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