人間・社会の知の循環基盤の創生
情報システム科学の真価が問われるのは、「人類の存続」への貢献です。今世界が直面する問題には、「地球環境の保護(CO2削減)やウイルスへの脅威」、「医療・健康」、「持続的発展可能な社会経済」、「食料・エネルギー」、「安全・安心な社会」、等があります。これらの複雑なシステムの問題を見据え、情報システム技術と人間・社会科学の融合による新しい学問領域の科学的研究手法の創成を目指しています。
歴史を遡ると、科学的研究手法は、「実験科学」や「理論科学」が主体でした。その後、コンピュータによる大規模で複雑な数学モデルとシミュレーションを行う「計算科学」が誕生しました。そして、インターネットとWebの台頭は、科学的研究手法にも変革をもたらしました。あらゆる情報機器がインターネットにつながり、データ、テキスト、音声、画像、映像などの情報がデジタル化され、Web上に流通する状況が生まれ、いつでも、誰もが、どこからでも自由にアクセス可能であるとなりました。この結果、これまでとは桁違いに多様で大規模なデータ、テキスト、音声、画像、映像などのWeb情報を集積することができるようになりました。
そこで、本研究開発では、現実の物理的社会(Real)と爆発的に増加するWeb情報空間(Cyber)が融合した社会において、人間・社会データ計測技術により、コンピュータなどの情報機器だけでなく、現実社会のありとあらゆるモノをWeb空間に投影し、Web空間から現実社会を制御する「Cyber-Real-Control技術」を研究開発します。さらに、現実社会をWeb空間でシミュレーションするだけでなく、Web空間から人やモノの操作を行い、現実社会にフィードバックすることで、今までにない新たな価値を生み出だす人間・社会の知の循環基盤を実現します。
このように、適切なデータに基づいて予測シミュレーションを行う「データ中心人間・社会科学」、さらに、社会的コンセンサスを得た政策決定支援可能な「社会システム設計科学」を創成します。このようなデータ中心かつ人間・社会システム設計の科学的研究方法を創成します。
Webデータを収集・解析することで現実世界の人流や社会の動きを把握し得られた知を、現実世界へフィードバックすることを目指しています。
いつでもどこからでもアクセスできるデータ供給拠点の構築やそれを実現するための匿名化手法、漏えいした場合の対策方法について研究を行っています。
学術認証フェデレーションとの協調・連携によって、人間・社会科学データ共有基盤を構築します。