政策決定は,対象の状況や要望など多様な社会データの科学的根拠に基づいて決定されるべきである.しかし,これらの社会データを得るための社会調査(アンケート調査,電話調査など)は,結果が得られるまで時間がかかり,実時間での政策決定を行うことができない.また,近年の個人情報保護意識の高まりから,国民の調査協力が得にくくなっており,調査データの精度も低下している.さらに,全国約1700の地方自治体が行う政策決定は,個別かつ独立に行われており,政策決定のための社会データ共有や公共サービスの広域連携が行われていない.この結果,実世界の実態と異なる結果に基づいて政策決定を行うこととなり,思ったような効果が得られず,無駄な政策を実施することとなり,大きな損失を招いている.
これらの問題を解決するため,本研究開発は,Webデータ収集・利活用基盤の構築,社会データを活用した科学的分析に基づく合理的な公共サービスの提供,社会データ基盤の持続的運用可能なビジネスモデル開発と,これらの社会実装を目的とする.
観光など地域経済活性化や防災・減災政策などの問題解決の難しさは,部分的でしかも不完全な情報やデータに基づいて,リスクや利益を推定し,主観的判断によって,意思決定を行わなくてはならないことにある.そこで,社会経済分野の多種多量な情報やデータを収集し,科学的分析手法に基づいてデータを解析し,国や自治体の政策決定や企業などの経営の意思決定を支援するICTシステムとサービス開発基盤を構築する.本ワークショップでは、図のような基盤を構築し、観光や防災に関連する研究成果の発表を行い、最新の研究成果の共有と今後の研究戦略について議論する。