【研究内容】
過去数世紀の間、科学のパラダイムは、演繹的理論科学や帰納的実証科学が主流でありました。20世紀後半になって、コンピュータによる大規模で複雑な数値計算とシミュレーションを行う第3の科学としての「計算科学」が誕生しました。そして現在、インターネットとWebの台頭は、科学的研究手法にさらなる変革をもたらしています。高度な情報システム技術によってあらゆる情報機器やセンサがネットワークへ接続され、情報がデジタル化されて流通し、いつでも、誰もが、どこからでもアクセスすることが技術的に可能になりつつあります。このようにネットワークを介して収集される大規模で複雑なデータに基づく実証的な科学的研究手法は、「データ中心科学(Data-centric Science)」と呼ばれ、第4の科学として期待されています。私達は、現実の人間・社会の情報をWeb空間に投影し、Web空間でモデリングとシミュレーションを行い、Web空間から人やモノにフィードバックすることで、新たな価値を生み出だす「知の循環」基盤の実現を目指し、新たな学問分野としての「データ中心人間・社会科学」の創成に挑戦します。さらに、現実社会から収集される人間・社会の大規模データとそのモデリングに関する知識を共有し、情報システム科学を活用して人間・社会のイノベーションをもたらす「人間・社会データ共同利用・共同研究基盤」を社会実装します。