第1期成果報告

は じ め に

新領域融合研究センターは、法人化の機会をとらえて「これまでの大学共同利用機関の活動をさらに発展させると共に、法人化されたからこそ可能となる新分野の創造を目指す」という情報・システム研究機構の基本的な方針の実現のため、機構発足と同時に機構本部に設置しました。新領域融合研究センターでは、未来の学術研究の方向性を見据えて、これまで特徴をもって独自に研究をすすめてきた国立極地研究所、国立情報学研究所、統計数理研究所、国立遺伝学研究所が分野を超えて連携協力することにより、生命・地球等複雑な研究対象に関する実験や観測による大量情報を産生する現場と、その情報を構造化しデータベース化して、有用な知識抽出と推論を行う情報処理の現場とを直接つなぐ新しい研究環境を活用して「新領域」創出をめざす研究活動を行っています。第1 期の中期目標・中期計画における研究領域としては「生命システム融合研究領域」「地球環境システム融合研究領域」「複雑システムモデル化・情報処理融合研究領域」の3 つを設け、それらをまたぐ形での「新領域融合プロジェクト」を募集し、4 つの大型プロジェクト研究を推進してきました。いずれのプロジェクトも機構内の複数の研究所及び多数の大学・研究機関並びにそれぞれの研究コミュニティーと連携・強化したチームで研究を実施しました。一部の研究成果は、生命・地球システムの解明にとどまらず、他の様々な研究分野や複雑なシステムへの応用に広がりつつあります。さらに、大学共同利用機関法人の特徴を活かした企画・運営に心掛けてきました。新領域融合研究センターでは、新領域融合プロジェクトの研究開始から1 年半が経過した平成18 年下期に、外部専門家に委嘱して、プロジェクト別に研究会又はシンポジウムの形式で研究レビューを実施し、評価を頂き、その結果をプロジェクトの研究計画に反映いたしました。併せて、当初の目標を達成するために建設的なご意見をいただきました。さらに、平成20 年6 月には、機構外の外部委員からなる外部評価会議を設置し、新領域融合研究センターの運営を含めた新領域融合プロジェクトが設置目的に沿った研究内容・水準か、今後の新領域融合研究の方向性はどうあるべきか等を検証していただき、第Ⅰ期の所期の目的は十分果たせたとの高い評価をいただきました。また、次期に向けては、他の研究機構ではみられない新領域融合研究センターの特徴を活かして、新領域創成の研究を、継続・深化するようにといくつかの具体的なご提言をいただきました。第2 期の中期目標・中期計画における研究計画は,外部評価会議からの報告、教育研究評議会、さらに、研究コミュニティー等からの要望等を踏まえ、第1 期の「新領域融合プロジェクト」の研究体制は、最も重要な活動の柱として引き続き継続・発展させ、「地球環境」「生命システム」の2 つの研究対象領域に、新たに「人間・社会」の柱を立て、この3 領域が統計数理基盤及び情報基盤と一体的に連携して融合研究を強力に推進することを決定し研究活動を始めました。ここに、第1 期5 年間の新領域融合プロジェクトの研究成果を報告書としてまとめました。皆様方からの多くのご批判、貴重なご助言を賜れば幸いです。最後に、今後、さらに具体的な成果をあげて新領域の創造を目指して頑張る所存ですので、皆様方のご支援、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

平成22年6月

新領域融合研究センター長
情報・システム研究機構長
堀 田 凱 樹

新領域融合プロジェクトの成果報告

新領域融合プロジェクトの第一期成果報告を以下に掲載しました。プロジェクトの略称の右のリンクをクリックすることにより成果報告書を閲覧いただくようになっています。

■生物多様性解析
成果報告書
 
   統計・情報技術を駆使したゲノム多型と表現型多様性の連関解析システムの開発
■地球生命システム
成果報告書  
   地球生命システムの環境・遺伝基盤の解明とモデル化・予測に向けた研究
■機能と帰納
成果報告書  
   機能と帰納:情報化時代にめざす科学的推論の形
■横断型融合
成果報告書  
   分野横断型融合研究のための情報空間・情報基盤の構築

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