大地震によって励起された大気変動・電離層変動のデータ同化
【研究の経過】
大地震の発生によって大気中に励起された「地震音波」は、やがて電離層を含む超高層大気にまで達し、はるか数百〜数千km遠方にまで伝搬することが、近年の微気圧観測やGPS観測によって分かってきました。
本研究では、固体地球−大気結合系の地球モデルに対して、ノーマルモード重合による地震音波伝搬シミュレーションを実施し、特に微気圧観測データと融合するデータ同化によって、震源に関するモデルパラメータや、各時刻における地震音波伝搬の状態を高精度に推定しています。
【研究の成果】
本研究により、2008年の岩手・宮城内陸地震や、2011年の東北地方太平洋沖地震の際に観測された微気圧変動および電離層変動を、データ同化によって再現することに成功しました。
これにより、固体地球と電離層を含む大気との間の物理的相互作用メカニズムを解明することや、将来的には津波起源の音波から、その規模や到達時刻をいち早く推定する津波早期警戒システムの実現に期待が寄せられています。