統計数理基盤

大気レーダーの3次元高分解能観測と同化の研究

【研究の経過】

極地研・東大・京大との共同研究でもある本研究はアレイアンテナによる大気レーダーの高度なデータ解析とそれを用いたデータ同化の研究を行うものです。気象予報や気候モデルなど大気のモデルによる将来予測には大気が重力成層に逆らって鉛直方向に運動することの記述が極めて重要ですが、こういった観測データを提供できるのは唯一レーダーだけであるといっても過言ではありません。

【研究の成果】

本研究の鍵となる「風速の鉛直成分」を正確に求めることは、レーダーを以ってしても様々な困難がありました。その問題を受信アレイの信号を適切に処理することで2ケタ精度を向上できることを示し、論文として発表しました(Nishimura et al., "Adaptive Beamforming Technique for Accurate Vertical Wind Measurements with Multi-channel MST Radar“, J. Atmos. Ocean. Tech, in print)。

また、その実験的実証のために京都大学のMU(エムユー)レーダーを使用して9月に観測を行い、解析中です。

南極昭和基地大型大気レーダー(いわゆるパンジーレーダー)による実証は、現在世界最先端の大気レーダーであるパンジーレーダーを用いて、種々の検証や同化実験を行うものですが、現在研究の推進役である西村耕司さん(PD)が昭和基地に越冬してレーダーシステムの立ち上げを行っています。

ことしのはじめには昭和基地の周囲の海氷が分厚く、1月は「しらせ」が昭和基地への接岸を断念しました。その結果、PANSYの送受信機モジュールが予定の半分しか輸送できませんでしたが、それでもPANSYプロジェクトは最優先で物資輸送していただき、全体の約1/4のシステム(228台のアレイ)として、南極最大のレーダーとして稼動しています。その他レーダーのA/D変換法の改良などの検討も同時に進めております。

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